成人患者への持続脳波モニタリング 第12章 特定の脳波パターンの予後的意義

第12章  特定の脳波パターンの予後的意義

Cheryl Plummer, R. EEG T., CLTM, BS

 

概要

脳波に特定のパターンがみられる場合、それは予後の予測因子となりうる。

 

バーストサプレッション

麻酔に起因しないバーストサプレッションは、通常、予後不良と関連する(図 12-1 および 12-2)。このパターンは、脳に無酸素性損傷を受けた患者でよくみられる。時に、患者は「バースト」時に痙攣性の動きや開眼などの臨床症状を呈することがあるが、「サプレッション」時には静かになる。

 

バーストサプレッションはてんかん重積状態を治療するための麻酔によって誘発されることがある。プロポフォール等の麻酔薬はバーストサプレッションを誘発するが、患者は完全に回復する。てんかん重積の治療法については、各医療機関が独自の方針を持つ。大まかな目安としては、バースト(群発)相を 5 秒未満、サプレッション(抑制)相を 5 秒以上とするのがよい。

12-1

図 12-1.脳無酸素症後にバーストサプレッションがみられる。 

 

12-2

図 12-2.長期にわたる心停止後にバーストサプレッションがみられる。 

 

α 昏睡 

α 活動は正常人でみられ、開眼(減衰する)および閉眼(再び現れる)に対して反応を示す。しかし、α 活動は昏睡患者でもみられることがあり、通常、広汎性で前頭部で最大となることが多い(図 12-3)。患者の反応性を検査することが非常に大切である。α 昏睡における α 活動は非反応性である(図 12-4)。α 昏睡は予後不良と関連づけられ、無酸素症や重篤な脳損傷でみられる。θ 昏睡もみられることがある。θ 昏睡は α 昏睡と同様の特徴と予後を呈する。α/θ 昏睡は α 波と θ 波の組み合わせで、非反応性かつ単調な脳波像を呈する(図12-5)。 

12-3

図 12-3.α 昏睡 パターン。すべての電極に α 周波数活動がみられ、振幅は前頭部電極で最大になっていることに注目。 

 

12-4

図 12-4.α 昏睡パターン。検査技師が指で開眼させても α 活動は減衰せず、指を離しても変化はないことに注目。 

 

12-5

図 12-5.α/θ 昏睡パターン。 

 

12-6

図 12-6.δ 活動に α 活動が重なる珍しい α 昏睡パターン。 

 

スピンドル昏睡 

スピンドル昏睡の脳波像は一見、正常の睡眠パターンのように見えるが、患者は昏睡している(図 12-7)。スピンドル昏睡は頭部外傷後にみられることがある。患者の脳波が反応性(刺激に対して変化を示す)であれば、予後は比較的よい。 しかし、非反応性であれば、良い転帰は期待できない。患者が昏睡状態にある場合は、侵害刺激や受動的開眼等により反応性を確認することが非常に大切である。 

 

12-7

図 12-7.スピンドル昏睡パターン。丸で囲んだスピンドル様活動に注目。 

 

三相波 

三相波という名称は、その形態から来ている(図 12-8)。三相波は 3 つの特徴的な相で構成される。 

3soha

まず下向きの陽性の振れ(A)で始まり、次に陰性の上向きの振れ(B)が続き、最後に下向きの陽性の振れ(C)で終わる。三相波は通常、前頭部から後頭部に向かって時間差が出る。一般的に、θ 波と δ 波からなる広汎性徐波背景に重なって出現する。三相波は 0.5~2 秒おきに出現し、単発することもあれば群発することもある。 

 

三相波は通常、中毒性・代謝性脳症でみられ、肝性または腎性脳症が最も多い。変性性、無酸素性または外傷性の過程でみられることはほとんどない。通常、三相波は混迷からから昏睡までの意識の変化と関連する。 

 

三相波が中毒性・代謝性障害に起因する場合、治療および障害の修正により三相波は消失する。

 

12-8

図 12-8.前頭部優位に三相波がみられる。この脳波区分では広範囲に認められる。ボックスはその一部を例として示した。モンタージュは同側耳基準導出である。 

 

参考文献 

Hirsch LJ, Brenner RP. Atlas of EEG in Critical Care. New Jersey: Wiley-Blackwell; 2010. 

 

Rowan AJ, Tolunsky E. Primer of EEG with a Mini-Atlas. Philadelphia, PA: Elsevier; 2003. 

 

Tyner FS, Knott JR, Mayer WB. Fundamentals of EEG Technology: Volume 2: Clinical Correlates. New York, NY: Raven Press; 1989. 

 

 

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