成人患者への持続脳波モニタリング 第15章 刺激および脳波の反応性

第15章 刺激および脳波の反応性

Lucy Sullivan, R. EEG T., CLTM

 

 

概要

昏睡患者の連続脳波を記録する場合、脳波の変動性と反応性の両方を検査しなければならない(Van Cott および Brenner 2010)。反応性は、刺激提示後の脳波活動の変化と定義される。刺激は聴覚、視覚および触覚刺激を含んでいる必要がある。刺激は吸引、胸部理学療法、再整位、静脈穿刺、入浴等の介護処置でも起こる。

 

連続脳波検査の有用性 

反応性が認められる場合、脳波は一定の様式で変化する(Van Cott および Brenner 2010)。刺激の提示後、背景脳波活動は現在出現している活動の減衰または振幅の増大を呈する(図 15-1)。反応性があるということは昏睡レベルが低いということであり、一般に良い兆候と考えられる(Van Cott および Brenner 2010)。非反応性の脳波とは、刺激に対して変化を示さない脳波をいう(Libenson 2010)。脳波の変化を伴わない運動反応は、皮質機能の兆候と考えるべきではない。運動反応は下位脳幹または脊髄により仲介されることがあり、皮質死および脳電気的無活動を呈することがある(Kaplan and Bauer 2011)。 

 

SIRPIDs(stimulus-induced rhythmic, periodic, or ictal discharges;刺激誘発律動性、周期性または発作性放電)を初めて記述したのは Hirschら(2004)である(図 15-2A~15-2G および図 15-3)。連続脳波測定およびビデオ同時記録により、診察、吸引、雑音または痛み刺激の実施中または実施後に SIRPIDs が認められた。SIRPIDs と確認された 33 人の患者のうち、8 人はてんかんの既往があり、24 人は急性の脳損傷であった。患者の半数は SIRPIDs のほかに症候性または無症候性のてんかん発作を呈し、残りの半数はてんかん発作を示さなかった。 SIRPIDs の亜型と臨床所見は相関しない。SIRPIDs の正確な臨床的意義、治療的意義、予後的意義はまだ不明である(Hirsch および Brenner、 2010)。 

 

図 15-2A~15-2G に示す SIRPIDs の脳波図をご提供いただいたニューヨーク長老派境界病院およびコロンビア/コーネル大学病院の Ed Toro、Steven Salerno および検査技師各位に感謝いたします。 

 

 15-1

 図 15-1.ノイズ刺激後の高振幅広汎性 δ 波 

 

15-2

 図 15-2A.医師患者の診察を始めると筋アーチファクトがみられる。図 15-2A~15-2G は同じ患者の連続的な記録。
[T7(10-10 法)は T3(10-20 法)、P7(10-10 法)は T5(10-20 法)、T8(10-10 法)は T4(10-20 法)、P8(10-10 法)は T6(10-20 法)にそれぞれ対応する]。 

 

15-2-2

 図 15-2B.振幅が拡大する筋アーチファクト
[T7(10-10 法)は T3(10-20 法)、P7(10-10 法)は T5(10-20 法)、T8(10-10 法)は T4(10-20 法)、P8(10-10 法)は T6(10-20 法)にそれぞれ対応する]。 

 

15-2-3

 図 15-2C.刺激誘発性の律動性、周期性または発作性放電(SIRPIDs)が出現しはじめている。
[T7(10-10 法)は T3(10-20 法)、P7(10-10 法)は T5(10-20 法)、T8(10-10 法)は T4(10-20 法)、P8(10-10 法)は T6(10-20 法)にそれぞれ対応する]。 

 

15-2-4図 15-2D.刺激誘発性の律動性、周期性または発作性放電(SIRPIDs)の振幅および周波数が上昇している。
[T7(10-10 法)は T3(10-20 法)、P7(10-10 法)は T5(10-20 法)、T8(10-10 法)は T4(10-20 法)、P8(10-10 法)は T6(10-20 法)にそれぞれ対応する]。

 

15-2-5

図 15-2E.刺激誘発性の律動性、周期性または発作性放電(SIRPIDs)は全般性で、2~2.5 Hz の頻度で出現している。
[T7(10-10 法)は T3(10-20 法)、P7(10-10 法)は T5(10-20 法)、T8(10-10 法)は T4(10-20 法)、P8(10-10 法)は T6(10-20 法)にそれぞれ対応する]。

 

15-2-6

図 15-2F.刺激誘発性の律動性、周期性または発作性放電(SIRPIDs)が消失しはじめている。
[T7(10-10 法)は T3(10-20 法)、P7(10-10 法)は T5(10-20 法)、T8(10-10 法)は T4(10-20 法)、P8(10-10 法)は T6(10-20 法)にそれぞれ対応する]。

 

15-2-7

図 15-2G.刺激誘発性の律動性、周期性または発作性放電(SIRPIDs)はほとんど消失し、背景活動はベースラインに戻りつつある。 [T7(10-10 法)は T3(10-20 法)、P7(10-10 法)は T5(10-20 法)、T8(10-10 法)は T4(10-20 法)、P8(10-10 法)は T6(10-20 法)にそれぞれ対応する]。 

 

15-3

図 15-3.胸を摩擦することにより刺激誘発性の律動性、周期性または発作性放電(SIRPIDs)が出現する。提供:Lawrence Hirsch, M.D. 

 

参考文献 

Dworetzky B, Herman S, Tatum WO. Artifacts of Recording. In: Schomer DL, Lopes da Silva FH (Editors). Niedermeyer’s Electroencephalography: Basic Principles, Clinical Applications, and Related Fields: Sixth Edition. Philadelphia, PA: Wolters Kluwer Health, 2011; p. 239—266. 

 

Hirsch LJ, Claassen J, Mayer SA, Emerson RG. Stimulus-induced Rhythmic, Periodic, or Ictal Discharges (SIRPIDs): A Common EEG Phenomenon in Critically Ill Patients. Epilepsia 2004; 45:109—123.

 

Hirsch LJ, Brenner RP. Atlas of EEG in Critical Care. West Sussex, UK: Wiley-Blackwell, 2010; p. 130. 

 

Kaplan PW, Bauer G. Anoxia, Coma, and Brain Death. In: Schomer DL, Lopes da Silva FH (Editors). Niedermeyer’s Electroencephalography: Basic Principles, Clinical Applications, and Related Fields: Sixth Edition. Philadelphia, PA: Wolters Kluwer Health, 2011; p. 435—434. 

 

Libenson MH. Practical Approach to Electroencephalography. Philadelphia, PA: Saunders Elsevier, 2011; p. 124—145. 

 

Van Cott AC, Brenner RP. Encephalopathy and Prognosis in Coma. In: Fisch BJ (Editor). Epilepsy and Intensive Care Monitoring: Principles and Practice. New York, NY: Demos Medical Publishing; 2010; p. 309—330. 

 

 

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カテゴリー: 「ベッドサイドでの脳波パターン:成人患者への持続脳波モニタリング」, 特集